【閣議決定】令和6年度はどうなる?経済産業省「令和5年度補正予算案」の概要

令和5年度補正予算
政府は令和5年11月に令和5年度補正予算を閣議決定しました。
経済産業省が提案する令和5年度補正予算案は、国内経済の安定的な発展と課題への効果的な対応を図るために総額4.5兆円の予算を計上しています。
この中で、物価高から国民生活を守り(1.2 兆円)、持続的な賃上げと地方の成長を促進するための施策(6,000 億円)、国内投資の推進(2.7 兆円)、人口減少への対応(160 億円)、国土の強靱化、安全・安心の確保(730 億円)など、多岐にわたる政策が提案されています。
今回はこの予算の配分と内容をご紹介します。
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目次

1.物価高から国民生活を守る

(1) 物価高により厳しい状況にある生活者・事業者への支援

物価高により厳しい状況にある生活者や事業者への支援として、以下の支援と予算額が割り当てられています。

予算額
内容
燃料油価格激変緩和対策事業(ガソリン補助金)
1,532 億円
ガソリンなどの燃料油の卸価格抑制を通じ、小売価格急騰を抑制。家計・企業の負担軽減を図る。翌年4月まで実施。
電気・ガス価格激変緩和対策事業(光熱費補助金)
6,416 億円
現行の電気・ガス料金の値引き支援を継続(5 月は支援の幅を縮小)。家計・企業の負担軽減を目指す。翌年4月まで実施。
石油ガス配送合理化・設備導入促進補助金
77 億円
スマートメーター、配送車両などの導入支援により、人手不足解消と業務効率化を促進。LP ガスタンクの導入支援も行い、需要家側のガス購入コストを低減。

上記の他、生活者にはLPガス使用世帯への給付支援、省エネ家電の買い換え支援、賃貸集合住宅向けの断熱窓への改修支援など、事業者には特別高圧やLPガスを使用する中小企業への支援など、地域の実情に応じたエネルギー価格高騰対策支援を引き続き行うため、内閣府にて「重点支援地方交付金」0.5兆円(LPガス、省エネ、特別高圧関連はこの内数)を追加。

(2) エネルギーコスト上昇に対する経済社会の耐性の強化

以下の支援策は、エネルギーコストの上昇に対抗するために様々な取り組みを行い、経済社会の耐性を向上させることを目指しています。

※GXとは、「国の一般会計予算(General Account)」の略を指しています。国の予算は大きく一般会計と特別会計に分かれており、一般会計予算は国の基本的な財政運営や行政事業に充てられます。

予算額
内容
省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金
2,025 億円(R5 年度:910 億円)(GX)
複数年の投資計画に切れ目なく対応する仕組みを全類型に適用し、電化・燃料転換を促進。翌年度まで実施。
省エネルギー投資促進支援事業費補助金
300 億円(R5 年度:250 億円)
省エネ性能の高い設備への更新に係る費用を補助する「省エネ補助金」。新たに脱炭素へ繋がる電化・燃料転換を促進する仕組みを追加。
中小企業等エネルギー利用最適化推進事業費
21 億円
専門家が中小企業を訪ね、エネルギー使用の改善をアドバイスする「省エネ診断」を中小企業が受けやすいように支援。
高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金
580 億円(GX)
家庭のエネルギー消費の約3割を占める給湯分野において、高効率給湯器の導入を支援。寒冷地の電気代節約にも対応。
既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業
185 億円
ヒートポンプ給湯機等の高効率給湯器の導入が難しい賃貸集合住宅向けに、小型の省エネ型給湯器(エコジョーズ等)の導入支援策を新設。
クリーンエネルギー自動車導入促進補助金
1,291 億円(GX)
電気自動車や燃料電池自動車の購入費用の補助を通じて初期需要の創出・価格低減を促進。翌年度まで実施。
クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金
400 億円
電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の充電設備等の購入費及び工事費、燃料電池自動車の水素ステーションの整備費及び運営費の補助。

2.地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と 地方の成長を実現する

(1)中堅・中小企業の賃上げの環境整備、人手不足対応、生産性向上を通じた賃上げ継続の支援

予算額
内容
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金
3,000 億円(R5 年度:1,000 億円)
地方の雇用を支える中堅・中小企業の成長促進を目指し、人手不足対策として新規拠点や大規模設備投資を補助。
中小企業省力化投資補助事業
1,000 億円(中小企業等事業再構築基金の活用含む、総額 5,000 億円)
人手不足に悩む中小企業向けに簡易なプロセスでの省力化投資を支援。
中小企業生産性革命推進事業
2,000 億円
生産性向上に取り組む中小企業や小規模事業者の設備投資、IT導入、販路開拓、事業承継・引継ぎを補助。
日本政策金融公庫等による資金繰り支援
629 億円(計上分の 51 億円含む、総額 680 億円)
新型コロナウイルスや物価高騰、処理水放出の風評対策に影響を受けた事業者の事業継続や賃上げ支援のための資金繰り支援。
中小グループ化・事業再構築支援ファンド出資事業
120億円
中小企業の「グループ化」・「事業再構築」を促進し、成長を支援するためのファンドを組成。リスクマネー供給とハンズオン支援を実施。
事業環境変化対応型支援事業
112 億円
インボイス制度導入やエネルギー価格・物価の高騰、最低賃金引き上げなどによる事業環境変化への対応を支援。
中小企業活性化・事業承継総合支援事業
52 億円
中小企業の財務上の問題を解決し、事業承継・引継ぎを支援して地域の経済と雇用の基盤を強化。
中小企業取引対策事業
8.3 億円
価格交渉促進や下請法執行、下請トラブル対応などを通じて中小企業の価格交渉・価格転嫁を促進。
中小企業信用補完制度関連補助事業
71億円
信用保証制度の改革に伴い、新制度の構築に資する信用保証料の補助や損失補填措置を実施。
なりわい再建支援事業等による被災地域の復興支援
45 億円
被災地域の中小企業に対するなりわい再建支援事業を通じて復興を支援。
物流効率化に向けた先進的な実証事業
55 億円
物流の自動化や機械化に資する機器・システムの導入を実証。ラストワンマイル配送の省力化にも取り組む。
探究的な学びに資する民間サービス等利活用促進事業
16 億円
学校活動支援サービスの導入を通じて教職員の業務の省力化に寄与。
ライフステージを支えるサービス導入実証等事業
12 億円
企業に対して家事支援サービスなど幅広いライフステージを支えるサービスの導入実証を実施。

(2)構造的賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進

これらの施策は労働市場における賃上げを構造的かつ持続的に実現するための取り組みであり、リスキリングや高度な専門性の育成を通じて、働き手のスキル向上と市場の需要に適した人材の供給を促進します。

予算額
内容
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
97 億円
構造的な賃上げの実現に向けて、リスキリングや企業・産業間の労働移動を円滑に進め、持続的な成長と分配の好循環を目指す。
高等教育機関における共同講座創造支援事業
3.5 億円
高等教育機関において先端分野で求められる高度な専門性を備えた人材を育成するために、共同講座の開設・受講を支援。

(3) 経済の回復基調の地方への波及及び経済交流の拡大

予算額
内容
我が国の文化芸術コンテンツ・スポーツ産業の海外展開促進事業等
71億円
我が国の文化芸術・コンテンツ・スポーツ産業の海外展開を促進するため、次世代ビジネス環境に対応したコンテンツの創出や海外展開の事例創出を支援。また、ロケ誘致の推進も行う。
国際博覧会事業
946億円(R5年度:750億円)
大阪・関西万博の会場建設を進め、準備・運営の主体である(公社)2025年日本国際博覧会協会へ補助。さらに、日本政府館の建設・展示の準備を進め、途上国が万博に参加するための支援を行う。会場内の安全確保にも万全を期す。

3.成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する

(1) 生産性向上・供給力強化を通じて潜在成長率を引き上げるための国内投資の更なる拡大

予算額
ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業等
6,778億円(うち、GX:281億円)
先端半導体の国内生産拠点の確保
6,322億円
経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靱化支援
9,147億円(うち、GX:5,464億円)
生成AIの開発力強化に資する計算資源の整備・モデル開発等
1,856億円
量子・古典融合技術の産業化支援機能強化事業
300億円
ムーンショット型研究開発事業
237億円
需要家主導太陽光発電等導入促進事業
256億円(R5年度:160億円)
家庭用蓄電池等の分散型エネルギーリソース導入支援事業
100億円
再生可能エネルギーの出力制御の抑制に向けた電源制御装置の開発及び効率的な運用に関する技術開発事業
20億円
再生可能エネルギーの大量導入に向けた次世代型ネットワーク構築加速化事業
27億円
先進的 CCS 支援等事業
204億円
希少金属備蓄拡充事業(JOGMEC 運営費交付金)
110億円
国立研究開発法人等の施設・設備等機能強化事業
174億円
資源自律経済確立に向けた産官学連携加速化事業
15億円
脱炭素化に向けた次世代航空機実用化開発調査事業
5.0億円
対内直接投資促進及び中堅・中小企業海外展開支援事業
53億円

(2) 「くらし」や「産業」における GX の加速

項目
予算額
くらし GX
高効率給湯器導入促進補助金
580億円(GX)(再掲)
クリーンエネルギー自動車導入促進補助金
1,291億円(GX)
産業 GX
重要物資サプライチェーン強靱化支援
9,147億円(うち、GX:5,464億円)(再掲)
ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業等
6,778億円(うち、GX:281億円)(再掲)
省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金
2,025億円(R5年度:910億円)(GX)(再掲)

(3) イノベーションを牽引するスタートアップ等の支援

予算額
内容
宇宙戦略基金の創設
1,260億円
JAXAに新たな基金を創設し、民間企業・大学等に対する先端技術開発、技術実証、商業化等の支援を強化。政府全体で総額1兆円規模の支援を目指す。
起業家等の海外派遣・シリコンバレー拠点形成事業
62億円
海外のイノベーション拠点・人材とのネットワーク構築を通じて、スタートアップの人材育成・海外展開・資金獲得を支援。
PHR社会実装加速化事業
24億円
異分野連携による実証を通じて、新たなユースケースを創出。PHRを社会実装するためのデータ流通基盤整備。PHR関連産業の市場成長を加速。
ヘルスケア分野におけるスタートアップ・エコシステム強化事業
23億円
有望な知的アセットを抱える地域での連携により、ヘルスケア分野のスタートアップを産み、育てるエコシステム構築。国内投資促進と地域課題解決を促進。
事業会社の有する革新的な技術等のカーブアウト加速等支援事業
10億円
大企業等の技術・人材のカーブアウト加速に向けた研究開発や経営人材等マッチングを支援。事業会社によるオープンイノベーション促進とスタートアップ創出。
地方や分野別スタートアップの創出強化
17億円
地方における未踏的なアイデアや技術を持つ若手人材の発掘・育成。ヘルスケアやWeb3.0の分野における人材育成、実証、ルール整備等。
グローバルサウス未来志向型共創等事業(R5 年度:1,083 億円)
1,400億円(R5年度:1,083億円)
グローバルサウスの課題解決を通じて市場成長促進。クリーンエネルギー、半導体、ヘルスケア等の国内産業活性化を目指す。知見共有と経済連携強化。

4.人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進 する

予算額
内容
自動運転等の先行実装のためのデジタルライフライン整備事業等
132 億円
「デジタルライフライン全国総合整備計画」における先行的な取組として、自 動運転車やドローンの社会実装等を支援する道路/航路の設定や、インフラ 管理のデジタル化を先行地域で進めるために必要となる、データ連携基盤等 のデジタルライフライン(共通規格に準拠したハード・ソフト・ルールのインフラ) を整備する。
モビリティDX促進のための無人自動運転開発・実証支援事業
27 億円
将来的な輸送力不足に対応し、生活必需サービスを維持するため、自動運 転車両の開発・社会実装を促進する。
工業用水道事業費
16 億円
工業用水道の強靱化(耐震化・浸水対策・停電対策)の加速化を図ると ともに、災害による被災箇所の早期復旧を行う。さらに、デジタル技術等を用 いた広域化・民間活用による施設の合理化や経営の最適化の促進を緊急 的に進めることで、低廉かつ安定的な工業用水の安定的な供給の実現を図る。
産業サイバーセキュリティ対策の強化に向けた環境整備事業
5.1 億円
中小企業等のサイバーセキュリティ対策を促進するための環境整備や、電力やガス等の分野におけるサイバーインシデント事故調査の実施に向けた環境整備を通じて、産業界全体のサイバーセキュリティ対策を強化する.

5.国土強靱化、防災・減災など国民の安全・安心を確保する

(1) 自然災害からの復旧・復興の加速

予算額
内容
なりわい再建支援事業等による被災地域の復興支援
45 億円
令和元年台風第 19 号等や2年7月豪雨、令和3年・令和4年福島県沖地震により被害を受けた中小企業等が行う施設復旧等を支援するとともに、地方公共団体が、地域の自然的経済的社会的諸条件に応じて、小規模事業者の経営の改善発達を目的とした施策を支援することで、被災地域の速やかな復興の実現を目指す。

(2) 防災・減災、国土強靭化の推進

予算額
内容
サービスステーション(SS)等の地域配送拠点における災害対応能力強化事業
90 億円
SS 等における備蓄能力増強、配送機能強靱化、停電時供給確保等に資する設備投資を支援し、災害時に住民生活や復旧活動を支える燃料供給 拠点となる SS 等の災害対応能力を強化する。
災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業
20 億円
避難所や多数の避難者・避難困難者が発生する施設等の社会的重要イン フラにLPガス・石油製品の「自衛的備蓄」を促し、災害対応能力を強化する。
災害時の強靱性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業
13 億円
災害時に機能を維持する必要性のある施設(避難施設、防災上中核とな る施設等)において、災害時にも対応可能な天然ガス利用設備の導入・更新の支援を行う。
休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助事業
11 億円
休廃止鉱山等において災害時にも鉱害を防止するため、レジリエンス強化に 資する設備導入等を行う。
工業用水道事業費(再掲)
16 億円
工業用水道の強靱化(耐震化・浸水対策・停電対策)の加速化を図ると ともに、災害による被災箇所の早期復旧を行う。さらに、デジタル技術等を用いた広域化・民間活用による施設の合理化や経営の最適化の促進を緊急 的に進めることで、低廉かつ安定的な工業用水の安定的な供給の実現を図る。

※上記のほか、戦略分野に関する国家プロジェクトの生産拠点の整備に際し、工業用水を含む関連インフラの整備を機動的かつ追加的に支援するため、内閣府にて「(仮称)地域産業構造転換インフラ整備推進交付金」【60 億円(工業用水関連はこの内数)】が創設されます。

(3) 国民の安全・安心の確保

予算額
内容
廃炉・汚染水・処理水対策事業
175億円
福島第一原子力発電所の廃止措置を進める上で技術的に難易度が高い研究開発等を支援。国が前面に立ち、廃炉・汚染水・処理水対策を安全かつ着実に進める。
ALPS処理水関連の輸入規制強化を踏まえた水産業の特定国・地域依存を分散するための緊急支援事業
89億円
水産業支援のため、特定国・地域依存を脱却するためにホタテ等の輸出減少が顕著な品目に対して、国内外の販路拡大や一時買取・保管、加工施設の整備などを行う。

(4)外交・安全保障環境の変化への対応

予算額
内容
ウクライナ復興支援事業
260億円
日本企業の技術やサービスを活用して、「日本ならでは」の支援を行いつつ、ウクライナ復興支援を進め、新たなビジネスの機会を創出する。
LNG戦略実現のためのIEA等との協働事業
8.5億円
“LNG Strategy for the World”に基づき、IEAの機能強化によるリザーブ制度の提言等を通じて、LNG市場の安定化を図りつつ、アジアへの「成長志向型カーボンプライシング構想」の展開を支援。世界銀行との連携による研修やワークショップも実施。

まとめ

今回は、経済産業省の令和5年度補正予算案の概要をご紹介しました。

今後、各補助金の具体的な予算や内容が発表される見込みですので、令和6年度の補助金にも引き続き注目し、「みんなの補助金コンシェルジュ」で取り上げていきます。

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