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個人事業主やフリーランスは開業届を出した方がよいのか?
個人で事業を始める際に税務署に事業を始めたことを報告するために提出する「開業届」。
法律上では事業を開始して1か月以内に開業届を提出することが定められています。
ただ、実際に「個人事業主」や「フリーランス」として事業を行っていても開業届を出していない事業主も多く実在し、提出をしていないからといって罰則を受けるわけではありません。
ではなんのために「開業届」を出すのでしょうか。
個人事業主が開業届を提出することで生まれる「メリット」がいくつかあります。
個人事業主とは
個人事業主とは、個人で事業を行う人のことを指します。
個人事業主が営む事業は多岐にわたり、たとえば食品や雑貨店などの小さな店舗を運営し商品の販売を行う事業主や、飲食店、ライターやデザイナー、プログラマーといったいわゆる「フリーランス」といった働き方をする事業主や、インストラクターやお音楽教室、コンサルティング業などがあります。
開業届とは
[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続
[概要]
新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続です。
[手続対象者]
新たに事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業の開始等をした方
[提出時期]
事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出してください。
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。引用:国税庁公式サイト
開業届とは、個人事業主や法人などがあらたに事業を始める際に、管轄の役所に提出する書類です。
正式には「個人の改行・廃業等届出書」といい、開業届を提出することで、事業を開始したことや営業所を開設したことを行政機関に届け出るための手続きとなります。
これにより事業主は、税金や社会保険などの負担を適切に行うことができるようになります。
個人事業主やフリーランスが開業届を出すメリット5つ!
では、個人事業主が開業届を出すメリットを5つご紹介します。
個人事業主が開業届を出すメリット(1)赤字を繰り越せる
個人事業主が開業届を提出することで、事業における赤字を翌年以降に来繰り越すことができるメリットがあります。
開業届を提出し、青色申告をすると、事業における赤字を最大3年繰り越すことが可能となります。
赤字繰越の例
個人事業主Aがウェブデザイナーとして独立し、初年度は新規獲得のための広告宣伝費が収入を上回り赤字に。
しかし開業届を提出していたおかげで、個人事業主Aはその年の赤字額を次の年に繰り越すことが可能となります。次の年に収入が増加し、黒字となった場合にも、前年の赤字を相殺することで所得税を軽減することができます。
このように、開業届を提出して赤字を繰り越すことで、個人事業主は経済的な変動に対する柔軟性を確保し、事業の持続可能性を高めることができます。
個人事業主が開業届を出すメリット(2)就業の証明になる
開業届を提出することで、個人事業主として事業を営んでいることを法的に証明することができます。
これは、クライアントや取引先、金融機関などとの信頼関係を築く上で重要な要素となります。
また、子どもがいる個人事業主が子どもを保育所や学童の申込をする際の「就労証明」として他の書類と一緒に提出することで、スムーズに就労の証明をすることができます。(自治体により、必要な書類は異なります)
個人事業主が開業届を出すメリット(3)青色申告で最大65万円の控除
開業届を提出することで、所得税の青色申告が可能となります。青色申告では所得金額に応じて所得税の控除を最大65万円受けることができます。
個人事業主が開業届を出すメリット(4)事業用の口座が開設できる
開業届を提出することで、銀行などで事業用の専用口座を開設することができます。これにより、個人の資産と事業の資産を明確に区分し、会計の管理が効率的に行えるようになります。
個人事業主が開業届を出すメリット(5)補助金が活用できる
開業届を出すことで、政府や地方自治体が公募を行う補助金や助成金の対象となる幅がグンと広がります。
補助金の中には、創業時の資金調達を支援するものや、販路開拓、生産性向上を支援するものなどがあり、事業の拡大やあらたな取り組みを行う際の貴重な資金源となります。
開業届を出している個人事業主が活用できる補助金
上で説明した個人事業主が開業届を出すメリット(5)となる「補助金を活用できる」ですが、個人事業主が対象となる補助金はたとえば以下のようなものがあります。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が持続的な経営を図るため、政府や地方自治体により実施される支援策です。
近年、経済の変動や新たな制度の導入など、小規模事業者にとってさまざまな課題が生じています。
(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス制度の導入など)
この補助金は、販路開拓や商品改良・開発などに取り組む際に支援を行います。
具体的には、新たな市場への参入を目指すために販売戦略を工夫したり、新たな顧客層を獲得するために商品の改良や開発を行ったりすることが支援の対象となります。
また、販路開拓と同時に業務効率化や生産性向上にも取り組むことが奨励されています。
補助金は、補助事業に必要となる経費(広告宣伝費や設備投資、開発費、展示会出展費、コンサルティング費などさまざま)を一部補助(最大200万円)する形で支給されます。
また、小規模事業者持続化補助金では昨年令和4年に創業して間もない事業者を支援する「創業枠」が創設されました。
小規模事業者持続化補助金、創業枠についてくわしくは、以下の記事をご覧ください。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は正式名称「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。
中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。
補助金額も大きく、2023年度では最大4,000万円まで補助されます。
ものづくり補助金についてくわしくは以下の記事をご覧ください。
IT導入補助金
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症拡大により、業状が厳しい事業者を支援するために創設された補助金で、変化する経済社会に対応するための事業再構築を行う事業者が対象です。
中小企業などが、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編などを行い、事業の再構築を図る際、その事業にかかった経費を補助してもらえます。
事業再構築補助金は代表的な補助金の中でも補助額が高額で最大1.5億円補助されます。
※サプライチェーン強靭化枠では最大5億円。
事業再構築補助金についてくわしくは以下の記事をご覧ください。
個人事業主が開業届を出すデメリット
上記のとおり、個人事業主が開業届を出すメリットはたくさんありますが、デメリットも存在します。
個人事業主が開業届を出すデメリット(1)扶養から外れてしまう可能性がある
事業主が配偶者の扶養に入っている場合、開業届を提出することで扶養から外れてしまう可能性があります。
厳密に言うと、開業届を出すことで外れる恐れがあるのは「健康保険上の扶養」です。
一部の会社の健康保険組合では、個人滋養主になる際に、収入が少なくても不要に入れないルールがあることもあります。
般的には配偶者の「健康保険上の扶養」から外れる目安は年間所得130万円ですが、企業ごとに異なる規定があるので確認が必要です。
個人事業主が開業届を出すデメリット(2 )失業保険をもらえない
雇用保険の失業手当を受給予定もしくは受給中の場合、開業届を提出することで、「失業状態」ではなくなるため失業保険の支給が中断」されてしまいます。
これはまだ売上がない状態でも同様です。
失業手当の受給を考えている場合は、開業届を提出するタイミングについて検討することが重要です。
まとめ
個人事業主やフリーランスにとって、開業届を出すことは将来の事業展開や経済的な柔軟性を高めるための重要なステップです。
メリットを最大限に活かしつつ、デメリットも把握して、事業の健全な成長を目指しましょう。
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