【インボイス制度】免税事業者から課税事業者になった場合のメリットとデメリットは?

2023年10月からスタートする「インボイス制度」。
「インボイス制度」の開始で、これまで消費税を免除されていた個人事業主やフリーランスなどの免税事業者も、従来通り免税事業者を継続するのか課税事業者を選択するのか判断が迫られています。
本コラムでは、免税事業者・課税事業者、両者のメリットとデメリットを解説します。

目次

実は20代・30代自営業者の2割が知らない!「インボイス制度」って何?

そもそも「インボイス制度」とは何でしょうか?

20代~30代の自営業者を対象としたあるアンケートでは、最も多かったのが「言葉だけ知っている」で、全体の約3割でした。

また、「知らない」と回答した方が2割です。

10月の開始を目前に控えた「インボイス制度」ですが、理解はあまり進んでいないようです。

「インボイス制度」とは、2023年10月から施行される消費税の仕入税額控除に関する新しい制度です。

消費税のルールにしたがったインボイスの発行が求められます。

 

「インボイス制度」では、買い手側は、売り手側(インボイス発行業者側)から所定の記載要件を満たした※インボイス(請求書・領収書など)の交付を受け保存しないと、仕入税額控除の適用が受けられなくなります。

つまり、買い手側は「インボイス発行できない事業者」と取引をすると損をしてしまいます。

 

インボイスを交付できるのは、適格請求書発行事業者のみ。(事前に税務署に申請を行って適格請求書発行事業者として登録された事業者のこと。課税事業者であることが前提)

免税事業者はインボイスを発行できません。

 

「「インボイス制度」開始後も免税事業者のままでいると、取引先に迷惑をかけてしまうの?」と思った免税事業者の個人事業主さま。

免税事業者から課税事業者になり、適格請求書発行事業者になればインボイスを発行できます!

しかし、免税事業者から課税事業者になる場合にはメリット・デメリットがあるので、後ほど詳しく説明します。

 

※「所定の記載要件を満たしたインボイス」は、従来のものと異なり、登録番号や適用税率を記載したものです。

詳細については下記コラムをご覧ください。

【インボイス制度】免税事業者にどんな影響があるの?

先ほど「インボイス制度」開始後は「買い手はインボイス発行ができない免税事業者と取引をすると損をする」と解説しました。

インボイスがないと仕入税額控除を行えないため納税額が増えてしまうからです。

「免税事業者のままでいると取引先(買い手)が損することは分かったけど、免税事業者も何か損をするの?」と、思いませんか?

 

「インボイス制度」導入後、免税事業者の基準に変更はありません。

・基準期間(その課税期間の前々事業年度)の課税売上高が1千万円以下の事業者

・設立から2期目までの事業者

などは、原則として消費税の納税義務は免除されます。

 

つまり、「インボイス制度」導入後、免税事業者のままでいても納税義務が発生するなどはありません。

しかし、取引先の納税額が増えるため、取引を中止される可能性があります。

【個人事業主】免税事業者のままでいる?課税事業者になる?両者のメリット・デメリットをチェック!

免税事業者は「インボイス制度」開始にあたり、次の2つを選ぶことになります。

 

(1)免税事業者のままでいる(インボイス発行不可)

(2)課税事業者に転換し適格請求書発行事業者になる(インボイス発行可能)

 

免税事業者のままでいると取引先を失う可能性があるからといって、安易に課税事業者に転換すべきでしょうか?

2つのメリット・デメリットを見ていきましょう。

免税事業者のままでいる(インボイス発行不可)

【メリット】

・消費税の納税義務がない

・請求書様式の変更がいらない

 

【デメリット】

・消費税分を考慮した取引価格の見直しを要求される

・自社の取引規模が推測される

・インボイス発行ができないため、取引先から取引を中止される

課税事業者に転換し適格請求書発行事業者になる(インボイス発行可能)

【メリット】

・インボイスの発行ができるため、取引先と今までどおりの取引ができる

・消費税額の転嫁ができる(自らも仕入税額控除ができる)

 

【デメリット】

・消費税の納税義務が発生する

・消費税申告書を作成する必要がある

・請求書様式を変更する必要がある

 

2つの選択肢のどちらを選ぶかは、各社の営業形態などによって異なります。

【まとめ】免税事業者と課税事業者のメリット・デメリット

免税事業者のままでいる(インボイス発行不可)

取引先の納税額に影響が生じるため、今までの取引価格を見直すなどの対応が発生するかもしれません。

価格の見直しがうまくいかなければ、取引先から取引を注意されてしまうことも考えらえます。

また、消費税の免税基準は、課税売上高1千万円以下の小規模事業者を対象にしています。

そのため、「インボイス制度」導入後も免税事業者のままでいる場合は、取引先に自社の事業規模を推察される可能性があります。

課税事業者に転換し適格請求書発行事業者になる(インボイス発行可能)

新たに消費税の負担が生じますが、納税額は売上規模や経費の内容などによって大きく違います。

消費税の課税方法には、原則課税と簡易課税があります。

小規模な事業者は、売上高から簡便に消費税額を算出できる簡易課税を選択できます。

原則課税と簡易課税どちらで計算すればよいのでしょうか?

原則課税と簡易課税はどちらの選択をするかによって税額が変わります。

実際に計算して、どちらが有利かを判断するしかありません。

【原則課税】

預かった消費税と支払った消費税の差額を納付する方法。

例えば1,100円が預かった消費税で600円が支払った消費税であれば、差額の500円を納付することになります。

取引量が多くなればなるほど、計算量も多くなり手間がかかる。

【簡易課税】

小規模な事業者(基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者)が「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すると適用できる。

業種ごとに仕入税額控除ができる割合が決まっており、売上金額にその割合をかけて計算する。

支払い分の消費税を計算しなくてもよいという点で簡易的な方法と言える。

しかし、仕入税額控除できる割合が業種ごとに区分されているといっても、1つの会社について1つの業種と決まっているのではなく、1つの会社のこの取引は1の区分の業種、別の取引は3の区分の業種というように、取引ごとに業種が決まっている。

つまり、取引先にさまざまな区分の業種があると、原則課税より簡易課税を選択する方が複雑になる可能性もある。

「インボイス制度」対応のコスト削減に補助金が使える!

免税事業者から課税事業者に転換し、適格請求書発行事業者になった場合、消費税申告書を作成するために、日々の取引ごとに適切な消費税区分を付与する作業が発生します。

手書き帳票や表計算ソフトによる集計では、対応が難しくなります。

「インボイス制度」対応の会計ソフトの導入がおすすめです。

また、インボイスを交付したらその「控え」の保存が必須に。

印刷したインボイスをすべて保存しては管理が大変です。

「控え」をそのまま電子で一元管理できるクラウド型システムを導入すると便利でしょう。

このように、2023年10月の制度開始までに、「インボイス制度」対応に向けた準備をする必要があります。

システムの導入などにかかるコストを抑えたい方には、補助金を活用がおすすめです!

「インボイス制度」対策に使える補助金

まとめ

本コラムでは、免税事業者から課税事業者になった場合のメリット・デメリットについて解説しました。

課税事業者に転換して適格請求書発行事業者になると、「インボイス制度」対応のシステムの導入にコストがかかります。

「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」などの補助金を活用して、導入にかかるコストを削減できます。

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