【子ども分野政策】10万円クーポンの開始はいつ?園バス置き去り対策や保育士増員?

新型コロナの感染拡大や将来への不安から起きている「産み控え」の対策として、これから生まれてくる子どもがいる家庭を対象に育児用品や育児支援サービスを利用することができる10万円相当のを配布されることが決定しました。
この出産子育て応援交付金(出産クーポン・出産準備金)は、令和4年4月以降に生まれた子どもがいる家庭が対象で、各自治体により、クーポンや現金などで支給される予定です。

その他にも、子ども関連の新たな補助事業が開始される予定です。

中でも、大きな動きがあったのが保育所等関連。

本年(令和4年)は、園バスの事故や、虐待報道など、子どもに関わる耳を塞ぎたくなるような痛ましいニュースが続きました。

令和4年度補正予算が閣議決定された中から、園バス対策や保育士増員など、子どもの安全を守るための「子ども分野」の政策や支援事業についてまとめていきます。

目次

「子育て・出産クーポン」とは

「出産・子育てクーポン」や「出産準備金」などと呼ばれていますが、正式名称は、「出産・子育て応援ギフト」。

「出産・子育て応援交付金」のうちの経済的支援策です。

妊娠期の妊婦健診受診時の交通費等や、出産後に必要なベビー服等の育児関連用品の費用、産後ケア・一時預かり・家事支援サービス等の利用者負担に充てていただくことを想定し、令和4年4月以降に出産された方を対象に、妊娠届出時と出生届出後を通じて合計で10万円相当が支給される予定です。

この「出産・子育て応援ギフト(出産・子育てクーポン)」は各自治体より支給されます。

「出産・子育て応援交付金」とは

ここでいう出産・子育てクーポンは、「出産・子育て応援交付金」のうちの支援内容の1つです。

「出産・子育て応援交付金」とは、全ての妊婦・子育て家庭が安心して出産・子育てができる環境整備を支援するために総設されました。

妊娠期から出産・子育てまで、以下のような支援事業のもと2022年4月以降に生まれた乳幼児を育てる家庭への支援が行われます。

1.伴走型相談支援
子育て世代包括支援センター(市町村)が主体となり、妊娠届出時より妊婦や特に0歳から2歳の低年齢期の子育て家庭に寄り添い、出産・育児等の見通しを立てるための定期的な面談や継続的な情報発信等を行うことを通じて必要な支援につなぐ伴走型相談支援の充実を図る。

出産・子育て応援ギフト(出産・子育てクーポン)
出産育児関連出産・育児用品の購入費助成や子育て支援サービスの利用負担軽減を図る経済的支援(計10万円相当)

出産・子育てクーポン(出産・子育て応援ギフト)の支給形態は?

各自治体の判断により、以下のいずれの方法でも実施可能

  1. 出産・育児関連商品の商品券(クーポン)
  2. 妊婦健診交通費やベビー用品等の費用助成
  3. 産後ケア・一時預かり・家事支援サービス等の利用料助成・利用料減免

出産・子育てクーポン(出産・子育て応援ギフト)の支給方法は?

・事業開始前に出産された方→ 事業開始後に10万円相当を一括支給
・ 事業開始時点で妊娠期にある方→ 事業開始後に妊娠期の5万円相当を支給し、出生届出後に5万円相当を支給
(自治体の判断により妊娠期に10万円一括支給の可能性もあり)

対象者は?

以下にあてはまる家庭が対象となる予定です。

  1. 2022年4月以降に生まれた「0~2歳」までの子どもがいる家庭
  2. これから出産予定の子どもを妊娠中の家庭

出産・子育てクーポン(出産・子育て応援交付金)はいつ配布されるの?

「出産・子育て応援交付金」の開始時期については、現段階で詳細は出ていません。

今年中に厚生労働省・子ど家庭局総務課「少子化総合対策室」より行われる「自治体向け説明会」が2度行われ(うち1回は実施済み)、その後自治体により事業の方針が決定される予定です

※本記事は厚生労働省「出産・子育て応援交付金」公式ページを参考にしています。

わかりやすい紹介動画はこちら!

園バスでの事故防止の対策

令和4年、こども園の送迎バスに子どもが置き去りにされるという、決して許すことのできない悲痛な事故のニュースが報道されました。令和3年にも、同様の事故が報道されたばかりです。

この状況を受けて、「今後、子どもを園のバス送迎には絶対に乗せたくない。不安だ」という親御さんの声を多く耳にしました。

こういった不安が出てくるのは当然のこと。

子どもを預ける保護者の立場に立つと、たとえ信頼している園に通わせていても、実際の管理体制の詳細を確認することは難しく、事故の可能性が0ではありません。

ですが、全ての家庭が「園バスに乗せずに園に通わせる」という選択を取るのは現実的でもありません。

では、今後政府による対策はどのようなものなのなのか、安心して園バスのある園に通わせられるのか、今回のような事故を受けて政府が取りまとめた対策は以下の4つです。

緊急対策(1)安全装置の義務付け

誰が運転・乗車するかにかかわらず、バスの乗車・降車時に幼児等の所在の確認が確実に行われるようにするため、府省令等の改正により、幼児等の所在確認と安全す装置の装備を義務付ける

■義務付けの内容

  1. 降車時等に点呼等により、幼児等の所在を確認すること
  2. 送迎用バスへの安全装置の装備

 

■法的効果等

  • 指導監査等において、各園側で適切な対応が行われているか確認
  • 義務違反は、表無停止命令等の対象事由とする。当該命令違反は、罰則の対象事由となり得る。

■実地のスケジュール

令和4年11月 パブリックコメント
令和4年12月 交付
令和5年4月 施行
※経過措置として、安全装置を装備するまでの間は、後者後に社内の確認を怠ることがないようにするための所要の代替措置を可とする。

緊急対策(2)置き去り防止を支援する安全装置の仕様に関するガイドラインの策定

置き去り防止を支援する安全装置の仕様に関するガイドラインを、関係府省令の改正による義務化を受け、メーカーヒアリング等を通じ、ガイドラインを審議。このガイドラインは、令和4年12月20日に公開されました。

■ガイドラインのポイント

ガイドラインで対象とする装置は、こどものバス送迎・安全徹底プランの内容を踏まえ、送迎用バスへの装備を念頭に、送迎用バスの運行のための園のマニュアルの運用等のソフト面の対策と一体で幼児等の所在の確認が確実に行われるようにすることを目的とした、ヒューマンエラーを補完する役割を果たす装置とする。

置き去り防止を支援する装置として、主に以下の2種類に大別される安全装置の開発が進められている。

1. 降車時確認式の装備

(備える構造と機能)

  • 乗員の降車の際、運転手等が車内に置き去りにされた乗員がいないか確認した上で入力可能な押しボタン等の構造
  •  車内に向けて警報を発して運転手等に置き去りにされた乗員がいないか車内の確認を促す機能
  • 車内に向けて警報を発してから長時間確認が完了した操作がなされない等、運転手等が車内の確認を忘れて車から離れようとしている場合において、車外に向けて警報を発して乗員の置き去りの可能性があることを知らせる機能

2. 自動検知式の装置

(備える構造・機能)

  • カメラ等のセンサーにより車内に置き去りにされた乗員を検知する機能
  •  センサーにより、原動機の停止等の後に置き去りにされた乗員を検知した場合において、車外に向けて警報を発して置き去りにされた乗員を検知したことを知らせる機能
  • センサーにより置き去りにされた乗員が検知された場合において、運転手等が車内に置き去りにされた乗員がいないか確認した上で入力可能な押しボタン等の構造

緊急対策(3)安全管理マニュアル

車側の対策である安全装置の装備との両輪として、送迎用バス運行に当たって園の現場に役に立ち、かつ、わかりやすく、簡潔な安全管理の徹底に関するマニュアルを策定。

■安全管理マニュアルのポイント

  • 毎日使えるチェックシート
    (毎日見落としがないかを確実に確認する内容)
  • バス送迎の業務の流れに沿ってポイントを整理
    (園での業務の流れが適切か確認する内容)
  • 置き去り事故ゼロをめざす
    (ヒヤリハット事例の共有、こども自らSOSを出せる支援、バスのラッピングやスモークガラスの仕様に関する留意事項)
  • シンプルな構成
    (内容を確実に理解し、読み返すことが負担にならない工夫)

■毎日使えるチェックシート

緊急対策(4)早期のこどもの安全対策に向けた「こどもの安心・安全対策支援パッケージ」事業

子どもの安全対策として、送迎用バスへの安全装置や登園管理シスム、こどもの見守りタグ(GPS)の導入の支援などを行う。

■事業の内容

  1. 送迎用バスへの安全装置の導入支援(文部科学省・厚生労働省計上)
    ブザーやセンサーなど、車内の幼児等の所在の見落としを防止する装置の装備等のための改修に必要な経費を支援
  2. 登園管理システムの導入支援(文部科学省・厚生労働省計上)
    幼児の登降園の状況について、保護者からの連絡を容易にするとともに、職員間での確認・共有を支援するための登降園管理システムの導入に必要な経費を支援
  3. こどもの見守りタグ(GPS等)の導入支援(文部科学省・厚生労働省計上)
    安全対策に資するGPS等を活用したこどもの見守りサービスなどの安全対策に資する機器等の導入に必要な経費を支援
  4. 安全管理マニュアルの研修支援等(内閣府計上)
    保育所、幼稚園、認定こども園等の職員に対する安全管理の研修の実施に必要な経費を支援するとともに、送迎用バスに装備する安全装置の推奨リストを作成

■対象施設

保育所、認定こども園、地域型保育事業所、認可外保育施設、放課後児童クラブ、障害児通所支援事業所、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校、特別支援学校

保育現場の負担削減(事件・事故防止)

保育現場での、虐待発覚やヒューマンエラーでの事故、守るべき子どもに対する痛ましいニュースが相次ぎました。

あってはならない事案が起きる要因として、「保育現場の多忙化」が問題視され、国による早急な対策が求められています。

そもそも、現在の保育士の配置基準は70年前から見直しが行われていません。

それに対し、保育現場は「行事の増加、書類作成、多くの製作物、幼児教育の充実化、保護者支援」など、現在の配置基準が設定された70年前に比べて保育士の業務は明らかに増加しています。

それに加えてコロナ禍の対応。

今のままでは子どもの安全や働く保育士の労働環境が守られているとはとても思えない内容です。
保育現場が疲弊し、大なり小なり事故を防ぎたくても防ぎきれないといった施設は多いのではないでしょうか。

今回の事故等を受け、保育士の負担軽減のための対策として、以下の事業が開始されます。

令和4年度 保育関係予算の概要

  • 「 こどもの安心・安全対策支援パッケージ」の推進(詳細は園バス対策の項目に記載)
  • 保育所等や認可外保育施設における業務のICT化等を推進することにより、保育士等の業務負担の軽減を図り、保育士等が働きやすい環境を整備する 。

また、「令和5年度補正予算案」として、保育現場の人員増加を行った保育施設に対する補助として、以下の内容があげられています。

令和5年度 保育関係予算案の概要

  • 比較的規模の大きな保育所について、25:1の配置が実現可能となるよう、公定価格におけるチーム保育推進加算について、2人までの加配を可能とする拡充を行う。
  • 保育体制強化事業について、既存事業の保育に係る周辺業務を行う者(保育支援者)の配置に加え、登園時の繁忙な時間帯やプール活動時など一部の時間帯にスポット的に支援者を配置する場合も補助する。
    ■補助額
    ○既存事業の保育に関わる保育支援者の配置:月額10万円
    ○一部の時間帯への支援者の配置:月額4.5万円
  • 園外活動時等における園児の見落とし等の発生防止のため、園外活動時の見守りを含む周辺業務を行う(キッズガード)
    の補助対象に小規模保育事業、家庭的保育事業、事業所内保育事業を追加する。
    ※このほか、令和4年度第二次補正予算に計上した「保育所等におけるICT化推進等事業」において、業務のICT化等を行うためのシステム導入による業務の効率化を更に推進する。

まとめ

今回は、「出産・子育て応援交付金」の他、保育園等の子どもの安全にまつわる国の新規事業をまとめました。

令和4年、たくさんの許すことのできない事件や事故が起こりました。

決して「忙しさ」を子どもの虐待や業務の怠りによる事故の免罪符にしてはいけません。

しかし現実問題、保育現場が疲弊しているのは事実であり、防ぎきれない事故から多くの心ある保育士までもが批判の対象となってしまうのはおかしなことです。

保育現場の職員は、日本の将来を担う子どもたち守る、間違いなく大切にされるべき労働者です。

今後さらなる労働環境の改善、処遇の改善が行われることを願います。

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