2022年、新しい年が始まり、「1月中」の予定とされている事業再構築補助金の第5回公募の開始が近づいてきました。
事業再構築補助金は、その名のとおり、新型コロナウイルス感染症に影響を受けた事業者が行う「事業の再構築」を支援するために2021年に新設された補助金です。
第4回公募までは最大1億円、今後新設される「グリーン成長枠」が加わることで補助上限額が1.5億円となります。
では、申請者が“個人事業主”の場合、補助額はいくらもらえて、補助上限額はどのくらいなのでしょうか。
今回は事業再構築補助金の個人事業主の補助上限額についてくわしく解説していきます。
目次
事業再構築補助金とは?
事業再構築補助金は、コロナ時代の今、変化する経済社会に対応するための事業再構築を支援してもらえる補助金です。
コロナウイルスの影響を受けた中小企業などが、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編などを行い、事業の再構築を図る際、その事業にかかった経費を最大1億円補助してもらえます。(新設されるグリーン成長枠の公募が開始すると補助上限額は1.5億円)
・新分野展開とは……主たる業種や事業を変更せずに、新しい製品の製造や、新しい商品、サービスを提供することで、新たな市場に進出すること。
・業態転換とは……今まで行っていた商品やサービスそのものは変えずに、製品などの製造方法の変更や、商品やサービスの提供方法を変更すること。
・事業転換とは……新たな製品の製造や、新たな商品、サービスを提供することにより、主たる業種を変更せずに、主たる事業を変更すること。
・業種転換とは……新たな製品の製造、新たな商品、サービスを提供することにより、主たる業種を変更すること。
・事業再編とは……会社法上の組織再編行為などを行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換または業態転換のいずれかを行うこと。
※組織再編とは「合併」「会社分割」「株式交換」「株式移転」または「事業譲渡」などを行うことをいう。
対象者
事業再構築補助金は、どんな事業主が対象なのか?
まず、事業再構築補助金は新型コロナウイルスの影響を受けていることが前提となります。
それから、新分野展開、事業・業種転換、事業再編またはこれらの取組を通じた規模の拡大などの事業再構築のための取組みをする中小企業者(個人事業主含む)、中堅企業などが対象となります。
事業再構築補助金は個人事業主も対象!
そもそも事業再構築補助金は、本当に個人事業主を対象としているのでしょうか?
事業再構築補助金の対象事業主は、「要件に当てはまる中小企業者等および中堅企業等が対象」となっていますが、その「中小企業者等」の”等“の中には、個人事業主も含まれています。
事業再構築補助金HP内で公開されている「補助対象者となる法人格の一覧」では、中小企業者の項目の中に、しっかり「個人事業主」と記載されています。
ただし、個人事業主にかぎらず「対象要件」に当てはまっている必要があります。
中小企業者等(個人事業主含む)の場合は、資本金または従業員数の数が以下の表の数字以下となっている会社または個人とが対象となります。
業種 | 資本金 | 従業員数 (常勤) |
---|---|---|
製造業、建設業、運搬業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製造業 (自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 300人 |
ソフトウェア業または情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
個人事業主の補助上限額は?
では事業再構築補助金のくわしい補助額・補助上限額を見ていきましょう。
これまでの補助額・補助上限額
第4回公募までの全体の補助上限額は中小企業者(個人事業主含む)・中堅企業等ともに最大1億円です。
くわしい補助額・補助上限額については以下の表をご覧ください。
申請類型 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
通常枠 | 中小企業者等、中小企業等ともに 【従業員数20人以下】100万円~4,000万円 【従業員数21~50人】100万円~6,000万円 【従業員数51人以上】100万円~8,000万円 | 中小企業者等 2/3 (6,000万円を超える部分は1/2) 中堅企業等 1/2 (4,000万円を超える部分は1/3) |
大規模賃金引上枠 | 中小企業者等、中堅企業等ともに 【従業員数101人以上】8,000万円超~1億円 | 中小企業者等 2/3 (6,000万円を超える部分は1/2) 中堅企業等 1/2 (4,000万円を超える部分は1/3) |
卒業枠 | 中小企業者等:6,000万円超 ~ 1億円
| 中小企業者等 2/3 |
グローバルV字回復枠 | 中堅企業等:8,000万円超 ~ 1億円
| 中堅企業等 1/2 |
緊急事態宣言特別枠
| 中小企業者等、中堅企業等ともに 【従業員数5人以下】 100 万円 ~ 500 万円 【従業員数6~20 人】100 万円 ~ 1,000 万円 【従業員数21人以上】100万円 ~ 1,500万円 | 中小企業者等 3/4 中堅企業等 2/3 |
最低賃金枠 | 中小企業者等、中堅企業等ともに 【従業員数5人以下】 100 万円 ~ 500 万円 【従業員数6~20 人】100 万円 ~ 1,000 万円 【従業員数21人以上】100万円 ~ 1,500万円 | 中小企業者等 3/4 中堅企業等 2/3 |
参考:「事業再構築補助金第4回公募要領」
「個人事業主」は“中小企業者等”にあてはまるため、各枠の中小企業の補助上限額を見ます。
全体の補助上限額は、中小企業者等、中堅企業等と同じく1億円となります。
新しい枠を含む補助額・補助上限額
令和3年11月に公表された情報によると、事業再構築補助金に「グリーン成長枠」という枠が新設され、補助上限額が1.5億円まで引き上げられる予定となっています。
くわしい補助額・補助上限額は以下の表をご覧ください。
申請類型 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
最低賃金枠 (最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい事業者に対する支援) | 500万円、1,000万円、
1,500万円 | 中小3/4 中堅2/3 |
回復・再生応援枠 (引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者に対する支援) | ||
通常枠 (事業再構築に取り組む事業者に対する支援) | 2,000万円、4,000万円、
6,000万円、8,000万円
| 中小2/3
中堅1/2
|
大規模賃金引上枠 (多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる事業者に対する支援) | 1億円 | |
グリーン成長枠 (研究開発・技術開発又は人材育成を⾏いながら、グリーン成長戦略「実⾏計画」14分野の課題の解決に資する取組を⾏う事業者に対する支援) | 中小1億円、中堅1.5億円 | 中小1/2
中堅1/3
|
しかし、最大補助額が引き上げられるのは中堅企業のみとなっています。
中小企業者等に含まれる「個人事業主」は、これまでどおり補助上限額は1億円です。
事業再構築補助金の採択率
事業再構築補助金の採択率は、
- 第1回公募 約36%
- 第2回公募 約45%
- 第3回公募 約44%
という結果となっています。
なお、第4回公募の採択結果は、事業再構築補助金の公式サイトによると、「令和4年2月下旬~3月上旬ごろ」と記載があります。
事業再構築補助金の採択結果についてくわしい内容は「【事業再構築補助金】第4回公募の採択結果の発表日はいつ?」の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
事業再構築補助金は、個人事業主も申請が可能です。
個人事業主は「中小企業者等」の条件にあてはまるため、最大補助額は1億円となります。
新型コロナウイルス感染症は、2年間にわたり、感染者数の増減を繰り返し、昨年秋ごろから1度は落ち着いたように見えました。
しかし現在は、変異種であるオミクロン株の流行により感染者数が増加してきています。
コロナが本格的に長期化している中で、ポストコロナ・ウィズコロナに対応するための“事業再構築”の必要性は非常に高く、2022年も引き続き事業再構補助金は事業者にとって希望となる補助金となりそうです。
今後も事業再構築補助金についての情報をお届けしていきたいと思います。
事業再構築補助金のご相談をするには
事業再構築補助金の第1回公募での採択率が約36%から第2回公募では、約45%と採択率が上がりました。
大規模賃金引上枠や最低賃金枠が新たに設けられたこともあり、第3回公募の採択結果も注目されていましたが、前回と大差なく約44%という結果となりましたね。
事業再構築補助金は現在、第4回公募を行っています。今後も事業再構築補助金の新しい情報を更新していきますので、ぜひチェックしてください。