新型コロナウイルス感染症で影響を受けた企業へ経済産業省が行う資金繰り支援。
実質無利子での融資や、保証料補助、低利融資などさまざまな支援が行われています。
その中で、令和3年11月19日に経済産業省が公表した「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」によると、政府系金融機関による実質無利子・無担保となる融資制度を来年3月まで継続する方針だということが明らかになりました。
政府系金融機関による実質無利子・無担保融資及び危機対応融資は来年3月まで継続し、資金繰り支援に万全を期す。新型コロナ特別貸付は、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化を踏まえ、事業者のニーズに沿った見直しを行った上で来年4月以降も継続する。また、伴走支援型特別保証制度の保証上限を 6,000 万円に引き上げるとともに経営改善サポート保証の保証料負担の軽減措置を継続する。事業者のコロナ禍で発生した債務に対しては、返済猶予を含む既往債務の条件変更、借換、資本性劣後ローンの活用等を行うとともに、ポストコロナの需要回復を見据えた前向きな資金供給に取り組むなど、迅速かつ柔軟な対応を官民金融機関に対して要請し、そのフォローアップを実施する。さらに、経営改善までのハンズオン支援とセットの官民連携ファンドを通じた債権買取り・出資や認定支援機関による経営改善計画の策定・実行支援等を行う。
引用:経済産業省「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」より
今回は、コロナウイルスに影響を受けた事業者が実質的に無利子・無担保で融資が受けられる、
1.生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
2.新型コロナウイルス対策衛経融資
の2つの融資制度と、それらの借入にかかる利子相当額を一括で助成してもらえる『特別利子補給制度』をご紹介していきます。
はじめに、ざっくりと説明すると、「生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付」および「新型コロナウイルス対策衛経融資」により借入を行い、それらを『特別利子補給制度』と併用することで実質的に無利子・無担保で融資が受けられる仕組みとなっています。
では、それぞれくわしくご紹介していきましょう。
1.新型コロナウイルス感染症特別貸付
新型コロナウイルス感染症特別貸付は、日本政策金融公庫および沖縄公庫が取り扱う融資です。
『特別利子補給制度』を併用することで実質的に無利子となる融資制度となっています。
信用力や担保にかかわらず、一律金利とし、融資後の3年間まで0.9%金利が引き下げられます。据置期間は最長5年となっています。
融資対象
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一時的な業状悪化をきたし、以下のいずれかに当てはまる事業者が対象となります。
- 1.最近1か月間等の売上高または過去6か月(最近1か月をふくむ)の平均売上高が前3年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少した
- 2.業歴3か月以上1年1か月未満の場合、または店舗増加や合併など、売上増加に直結する設備投資や雇用等の拡充を行っている企業(ベンチャー・スタートアップ企業をふくむ)など、前3年同期と単純に比較できない場合等は、最近1か月間等の売上高または過去6か月(最近1か月をふくむ)の平均売上高(業歴6か月未満の場合は、開業から最近1か月までの平均売上高)が、以下ア~ウのいずれかと比較して5%以上減少している
- ア.過去3か月(最近1か月をふくむ)の平均売上高
- イ.令和元年12月の売上高
- ウ.令和元年10月~12月の平均売上高
資金の使いみち
融資の対象となる資金の使い道は運転資金と設備資金となります。
なお、いずれもコロナの影響により必要となる資金に限ります。
既往債務の借換
公庫の既往債務の借換も可
担保
無担保
貸付期間
設備20年以内、運転15年以内
うち据置期間:5年以内
融資限度額(別枠)
中小事業6億円、国民事業8,000万円
利下げ限度額
中小事業3億円、国民事業6,000万円
金利
当初3年間基準金利:▲0.9%
4年目以降基準金利:中小事業1.06%→0.16 国民事業1.21%→0.31%
金利は貸付期間5年の場合、信用力や担保の有無にかかわらず一律となります。
※後ほどご紹介する特別利子補給制度が対象の場合、併用することで実質的に無利子となります。
※2021年11月25日時点
2. 新型コロナウイルス対策衛経融資(小規模事業者向け)
「新型コロナウイルス対策衛経融資」は、生活衛生同業組合などの経営指導を受けている生活衛生簡易系の事業を行う小規模事業者が経営改善に必要な賃金を無担保・無保証人で、利用できる融資制度です。
「生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付」と同じく『特別利子補給制度』と併用することで実質的に無利子化となります。
融資対象
融資の対象となるのは、以下の1.2のいずれかに該当する小規模事業者です。
- 1.最近1か月間等の売上高または過去6か月(最近1か月をふくむ)の平均売上高が前3年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している小規模事業者
- 2.前3年すべての同期との比較が望ましくない場合であって、最近1か月間の売上高または過去6か月(最近1か月をふくむ)の平均売上高が、次のいずれかと比較して5%以上減少している小規模事業者
- ア.過去3か月(最近1か月をふくむ)の平均売上高
- イ.令和元年12月の売上高
- ウ.令和元年10月~12月の平均売上高
資金の使いみち
運転資金、設備資金
※いずれもコロナの影響により必要となる資金に限ります。
融資限度額
別枠1,000万円
金利
1.21%より当初3年間(11月25日時点)、▲0.9%
※後ほどご紹介する特別利子補給制度が対象の場合、併用することで実質的に無利子となります。
3. 特別利子補給制度(実質無利子)
では、さきほどから「併用することで実質無利子に」とお伝えしてきた『特別利子補給制度』とは?
ずばり、特別利子補給制度は、日本政策金融公庫などの「生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付」および「新型コロナウイルス対策衛経」により借入を行った中小企業や小規模事業者等のうち、売上高が急減した事業者に対して、最長3年間分の利子に相当する額を一括で助成してもらえる融資制度です。
また、公庫の既往債務の借換も実質無利子化の対象となります。
助成対象
助成の対象となる事業者は、「生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付」および「新型コロナウイルス対策衛経融資」により借入を行った個人事業主、小規模事業者、中小企業者などです。
その中で、特別貸付等の申込を行った際の、最近1か月、その翌月もしくはその翌々月の売上高または最近1か月からさかのぼった6か月間の平均売上高と全3年のいずれかの年の同期と比較して、以下の要件を満たす事業者が対象となっています。
- 【1】個人事業主(事業性のあるフリーランスふくみ、小規模に限る):要件ナシ
- 【2】小規模企業者(法人事業者):売上高▲15%減少
- 【3】中小企業者等(上記に該当しない事業者):売上高▲20%減少
利子補給
利子の補給期間は、最長で借入後当初3年間となります。
補給対象貸付の上限額は、6,000万円、利子補給上限額は新規融資と公庫の既往債務借換との合計金額となります。
4.まとめ
新型コロナウイルス感染症の影響を受けてた事業者向けに、「無利子・無担保」で融資が受けられる融資制度をご紹介しました。
今回、経済産業省は、この実質無利子無担保の融資制度を来年3月まで継続すると公表しています。
コロナによる影響を受け、今後の事業のための融資のご検討をされている事業者さまには必見の制度です。
参考:経済産業省「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける皆様へ」