労働者の離職率を下げることは、企業にとって大きな課題ですよね。
働きやすい環境を整備することは、その有効な手段のひとつと言えます。
たとえば、充実した研修制度やがん検診の導入等が挙げられます。
「人材確保等支援助成金 雇用管理制度助成コース」は、このような雇用管理改善を積極的に行い離職率の低下に取り組んだ事業主対して助成金が支給される制度です。
1.「人材確保等支援助成金 雇用管理制度助成コース」とは
「人材確保等支援助成金 雇用管理制度助成コース」は、事業主が諸手当等制度や研修制度等の雇用管理制度の導入等による雇用管理改善を行い、離職率の低下に取り組んだ場合に助成金が支給される制度です。
2. 主な受給要件
本コースの助成金を受給するためには、事業主は次の措置を実施することが必要です。
(1)雇用管理制度整備計画の認定
次のA~Eの雇用管理制度の導入を内容とする雇用管理制度整備計画を作成し、管轄の労働局の認定を受けること
- A:諸手当等制度
- B:研修制度
- C:健康づくり制度
- D:メンター制度
- E:短時間正社員制度(保育事業主のみ)
(2)雇用管理制度の導入・実施
(1)の雇用管理制度整備計画に基づき、当該雇用管理制度整備計画の実施期間内に、雇用管理制度を導入・実施すること
(3)離職率の低下目標の達成
(1)、(2)の実施の結果、雇用管理制度整備計画期間の終了から1年経過するまでの期間の離職率を、雇用管理制度整備計画を提出する前1年間の離職率よりも、下表に掲げる目標値以上に低下させること
※低下させる離職率の目標値は、対象事業所における雇用保険一般被保険者数に応じて変わります。
人数に対する割合 | |||||
---|---|---|---|---|---|
対象事業所における雇用保険一般被保険者の人数区分
| 1~9人 | 10~29人 | 30~99人 | 100~299人 | 300人以上 |
低下させる離職率(目標値)
| 15% | 10% | 7% | 5% | 3% |
3.支援対象となる事業主
本コースの支援対象となる事業主の主な要件は次の(1)~(5)です。
※詳しい要件については、厚生労働省のHPの11ページをご参照ください。
- (1)雇用保険の適用事業の事業主であること
- (2)認定された雇用管理制度整備計画に基づき、当該計画期間内に要項に定められたいずれかの雇用管理制度を新たに導入し、それを対象事業所における全ての通常の労働者に対して、各労働者に1つ以上実施した事業主であること
- (3)雇用管理制度整備計画期間内に新たに導入・実施した雇用管理制度を、評価時離職率算定期間の末日まで引き続き運用し、労働者の適正な雇用管理に努める事業主であること
- (4)計画開始日の前日から起算して6か月前から雇用管理制度整備計画期間の末日までの期間について、雇用する雇用保険被保険者(「雇用保険法第38条第1項に規定する「短期雇用特例被保険者」および同法第43条第1項に規定する「日雇労働被保険者」を除く)を事業主都合で解雇等していないこと(同一事業主の全ての適用事業所が対象)
- (5)離職率の目標を達成すること(※評価時の離職率が30%以下となっている必要があります)
- (6)生産性要件を満たす場合の支給額の加算の適用を受ける場合は、「生産性要件」を満たす事業主であること(※「生産性要件」については、本コラムの「助成額」の見出しをご参照ください)
4.支援対象となる労働者
本コースの支援対象となる労働者は、以下の(1)~(6)全てに該当する必要があります。
- (1)事業主に直接雇用される者であって、事業主と期間の定めのない労働契約を締結する労働者であること
- (2)当該事業所において正規の従業員として位置づけられていること
- (3)所定労働時間が当該事業所の同じ職種で働くフルタイムの正規従業員と同等であること
- (4)社会通念に照らして、労働者の雇用形態、賃金体系等が正規の従業員として妥当なものであること
- (5)雇用保険の被保険者(「短期雇用特例被保険者」、「日雇労働被保険者」を除く)であること(「高年齢被保険者」は含まれる)
- (6)社会保険の適用事業所に雇用されている場合は、社会保険の被保険者であること(社会保険の要件を満たす者に限る)
5.助成額
目標達成助成として57万円を助成します。(「生産性要件」を満たした場合は72万円)
雇用管理制度助成コースを申請する事業主が、以下の「生産性要件」を満たしている場合に目標達成助成の支給額の割増を行います。
「生産性要件」とは
助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が、その3年度前に比べて6%以上伸びている。または1%以上6%未満伸びていて、金融機関から一定の「事業性評価」を得ていること。
※詳しくは、厚生労働省のHPでご確認ください。
6.申請のスケジュール
- (1)雇用管理制度整備計画の作成し、提出期間内に本社の所在地を管轄する都道府県労働局に提出する
- (2)認定を受けた雇用管理制度整備計画に基づく雇用管理制度を導入する(労働協約または就業規則に明文化することが必要)
- (3)(2)で導入した雇用管理制度を計画どおりに実施する
- (4)算定期間終了後2か月以内に目標達成助成の支給申請を行う
- (5)助成金が支給される
各種申請書類は下記の厚生労働省のHPからダウンロードできます。
7.まとめ
雇用管理改善を積極的に行うことは、労働者の離職を防ぐだけではなく、求職者を惹きつけることにもつながります。
労働者の定着率を上げ優秀な人材を確保するために、ぜひ「人材確保等支援助成金 雇用管理制度助成コース」の活用をご検討ください。
出典:厚生労働省