【どうなる?】財源の確保が課題とされる雇用調整助成金の『特例措置』とは

「雇用調整助成金」は、国が雇用の維持を図るために事業主に支給する助成金です。雇用調整助成金のコロナによる「特例措置」は現在の段階で、令和4年3月まで延長となっており、不足している財源の確保が課題となっているのとことです。 今回は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者や労働者のための雇用調整助成金の「特例措置」について解説していきます。

新型コロナウイルス流行に伴い、今世紀最大の不況が続いています。

そして、不況にともない引き離せない問題なのが、従業員の雇用問題。

雇用調整助成金は、コロナの特例措置が導入されたことから大きく話題となり、この約2年の間、例年よりも多くの企業が活用されてきました。

厚生労働省によると、昨年の2月から今年の11月5日までの雇用調整助成金の支給決定額は4兆7,000億円を超え、想定予算を上回っているとのことです。

これは、リーマンショック後の2年間間の支給決定額の約4倍にあたります。(以下参照)

厚生労働省によりますと、去年2月から今月3日までの支給決定件数は、441万2511件金額にして4兆3481億円に上っています。

リーマンショックの後の2009年度から2年間の支給額は、合わせておよそ9785億円です。

これと比較すると、およそ1年7か月間で、支給額はその4.4倍にあたります。

引用:NHK 社会ニュース

また、雇用調整助成金のコロナによる「特例措置」は現在の段階で、令和4年3月まで延長となっており、不足している財源の確保が課題とされています。

今回は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者や労働者のための雇用調整助成金の「特例措置」について解説していきます。

1. 雇用調整助成金とは

「雇用調整助成金」は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度です。

事業主が一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成されます。

従業員の失業の予防や雇用の安定を図ることを目的としています。

対象者

雇用調整助成金の支給対象となる事業主は、 景気の変動や産業構造の変化など経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、労働者の雇用の維持を図るために労使間の協定に基づいて雇用調整(休業・教育訓練・出向)を実施する事業主です。

助成率・助成額

労働者1人当たり、助成上限が8,370円で、助成率は中小企業の場合、2/3、大企業の場合は、1/2となっています。

従来の雇用調整助成金については、「雇用調整助成金とは」の記事をご覧ください。

※雇用調整助成金『特例措置』の概要は以下で解説しています。

2. 雇用調整助成金の「特例措置」とは

現在は、昨年に引き続き新型コロナウイルスの緊急対応期間となっており、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者は雇用調整助成金の対象の要件の緩和や、支給額の上限や助成率の引き上げが行われています。

これを新型コロナウイルス対応の「特例措置」といいます。

この雇用調整助成金の『特例措置』は、『令和2年4月1日から令和3年11月30日までの期間を1日でも含む賃金締め切り期間が対象』となっていたところ、10月に令和4年3月まで延長されるとの発表がありました。
現在の助成内容は令和3年12月末まで継続することとする予定されています。

3.受給の要件

雇用調整助成金の新型コロナウイルス感染症に伴う『特例措置』では、多くの事業主が対象となるよう、通常の要件よりもかなり要件が緩和されています。

『特例措置』の要件は、以下のとおりとなっています。

4.助成対象となる労働者

雇用調整助成金の対象となる労働者は、事業主に雇用された雇用保険被保険者です。
※学生アルバイトなど、雇用保険被保険者以外の方に対する休業手当は、「緊急雇用安定助成金」の助成対象となります。

5. 助成率・助成額

雇用調整助成金の『特例措置』の助成率・助成額ですが判定基礎期間内のうち、判定基礎機関の初日が、令和3年4月までとなる場合と、令和3年5月以降となる場合の2パターンにわかれ、それぞれ助成上限額や助成率が異なります。

また助成率・助成額は、以下の計算式のとおりに算出します。

(平均賃金額(※) × 休業手当等の支払率)× 下表の助成率
1人1日あたり15,000円もしくは13,500円が上限

※平均賃金額の算定について、小規模の事業所(概ね20人以下)は簡略化する特例措置を実施しています。

中小企業

判定基礎期間の初日
~4月末
5月~11月
中小企業
原則的な措置【全国】
4/5(10/10)
15,000円
4/5(9/10)
13,500円 
業況特例【全国】
4/5(10/10)
15,000円
地域に係る特例
緊急事態宣言
4/5(10/10)
15,000円
まん延防止等重点措置
4/5(10/10)
15,000円

※()内は、解雇などを行わない場合の助成率

大企業

判定基礎期間の初日
~4月末
5月~11月
大企業
原則的な措置【全国】
2/3(3/4)
15,000円
2/3(3/4)
13,500円
業況特例【全国】
4/5(10/10)
15,000円
4/5(10/10)
15,000円
地域に係る特例
緊急事態宣言
4/5(10/10)
15,000円
4/5(10/10)
15,000円
まん延防止等重点措置
4/5(10/10)
15,000円

※()内は、解雇などを行わない場合の助成率

6.申請方法

雇用調整助成金の『特例措置』の申請方法は、通常の雇用調整助成金と同様です。
申請の流れについては、以下のとおりとなっています。

※詳細は下記公式サイトをご覧ください。

7.12月以降の雇用調整助成金の特例措置について

雇用調整助成金の「特例措置」は、何度かの延長を重ね、令和3年11月末まで対象となっていましたが、さらに令和4年の3月まで延長されるとの発表がありました。
現在の助成内容は令和3年12月末まで継続する予定とのこと。

令和4年1月以降の助成内容については、11月中に改めて発表される予定です。

8. まとめ

雇用調整助成金の「特例措置」は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済上の理由から事業縮小せざるを得ない事業主や従業員を守るためのものです。

新型コロナウイルス感染症の影響は多くの労働者に不安を及ぼしています。

コロナによる労働者の失業の予防や雇用の安定が目的とされている雇用調整助成金の「特例措置」。

まだまだ経済は上手くまわっておらず、この「特例措置」の延長を望んでいた声は、多かったのではないでしょうか。

ただ、財源が不足しているという現状もあり、1月以降の助成条件などがどうなっていくのかも気になるところではありますね。

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