「特定求職者雇用開発助成金 特定就職困難者コース」は、就職が困難とされる障害者や母子家庭の母等を支援する目的で作られた制度です。
就職困難者を雇用することは、多様な人材を確保することにもつながります。
今回は、「特定求職者雇用開発助成金 特定就職困難者コース」について紹介します。
※令和2年10月5日から、新型コロナウイルス感染症の影響により実労働時間が減少した場合の特例が実施されました。
特例については厚生労働省のHPをご確認ください。
本コラムには「特定求職者雇用開発助成金 特定就職困難者コース」の概要が書かれています。
1. 「特定求職者雇用開発助成金 特定就職困難者コース」とは
本助成金は、高年齢者、障害者、母子家庭の母等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成金を支給する制度です。
事業主は労働者を雇い入れた後に支給申請を行います。
2. 支給対象となる事業主
以下(1)~(7)の全てに該当する事業主が支援対象になります。
- (1)雇用保険の適用事業主であること
- (2)対象労働者(雇入れ日現在における満年齢が65歳未満の者に限る)をハローワーク、地方運輸局、適正な運用を期すことのできる特定地方公共団体、有料・無料の職業紹介事業者、または無料船員職業紹介事業者の紹介により雇用保険の一般被保険者として雇い入れる事業主であること
- (3)対象労働者を雇用保険の一般被保険者として継続して雇用することが確実であると認められる事業主であること ※対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上(短時間労働者以外の重度障害者等を雇い入れる場合は3年以上)
- (4)対象労働者の雇入れ日の前後6か月間(以下「基準期間」)に、事業主の都合による従業員の解雇(勧奨退職を含む)をしていないこと
- (5)対象労働者の雇入れ日よりも前に本助成金の支給決定がなされた者を、支給申請日の前日から過去3年間に、その助成対象期間中に事業主の都合により解雇・雇止め等をしていないこと(平成30年10月1日以降に解雇・雇止め等をした場合に限る)
- (6)基準期間に倒産や解雇等の特定受給資格者となる離職理由の被保険者数が、対象労働者の雇入れ日における被保険者数の6%を超えていないこと(特定受給資格者となる離職理由の被保険者が3人以下の場合を除く)
- (7)対象労働者の出勤状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿等)を整備・保管し、管轄労働局長の求めに応じ提出または提示する、管轄労働局が行う実地調査に協力する等、助成金の支給または不支給の決定に係る審査に協力する事業主であること
3.支援対象となる労働者
以下(1)~(6)のいずれかに該当する労働者が支援対象になります。
なお、主な対象労働者は雇入れ日現在の満年齢が65歳未満の方に限ります。
- (1)60歳以上の者
- (2)身体障害者
- (3)知的障害者
- (4)精神障害者
- (5)母子家庭の母等
- (6)父子家庭の父(児童扶養手当を受給している方に限る)
4.助成額
助成金は対象労働者に支払われた賃金の一部に相当する額として、支給対象期(6か月)ごとに支給されます。
なお、助成額は企業の規模や支援対象の労働者の労働時間によって異なります。
※( )内は中小企業以外の企業に対する支給額・助成対象期間です。
【短時間労働者以外】
対象労働者 | 支給額 | 助成対象期間 | 支給対象期ごとの支給額 |
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高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等
| 60(50)万円 | 1年 | 30万円×2期(25万円×2期)
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身体・知的障害者 | 120(50)万円 | 2年(1年)
| 30万円×4期(25万円 ×2期 )
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重度障害者等(重度障害者、45歳以上の障害者、精神障害者) | 240(100)万円 | 3年(1年6か月) | 40万円×6期(33万円×3期 )※第3期の支給額は34万円
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【短時間労働者】
対象労働者 | 支給額 | 助成対象期間 | 支給対象期ごとの支給額 |
---|---|---|---|
高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等
| 40(30)万円 | 1年 | 20万円×2期(15万円×2期 )
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障害者 | 80(30)万円 | 2年(1年)
| 20万円×4期 (15万円×2期 )
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5. 申請のスケジュール
助成金は支給対象期(起算日から6か月間ごとに区切った期間)ごとに、2~6回に分けて支給されます。
支給申請は労働局またはハローワークに行い、支給申請期間は各支給対象期の末日の翌日から2か月以内です。
1回目の支給申請がなされていない場合でも2回目以降の支給申請は行えますが、既に支給申請期間が終了した支給対象期の助成金は支給されません。
- (1)ハローワーク等からの紹介
- (2)対象者の雇入れ
- (3)助成金の第1期支給申請
- (4)支給申請書の内容の調査・確認
- (5)支給・不支給の決定(申請事業主に通知書送付)
- (6)助成金の支給
※第2~6期支給申請の場合も(3)~(6)と同様の手続きが必要です。
6.まとめ
ダイバーシティーが叫ばれる今、企業においてもさまざまな人材の確保が重視されるようになりました。
「特定求職者雇用開発助成 特定就職困難者コース」は、そんな企業を後押ししてくれる制度です。
本制度を有効に活用し、多様な人材が活躍する職場づくりに取り組んでみませんか。
出典:厚生労働省