2017年、労働時間の適正な把握のための使用者向けの新たなガイドラインが策定され、2020年からは賃金台帳等の労務管理書類の保存期間が5年に延長されました。
事業主はこれらを職場に普及・定着させなければなりません。
「働き方改革推進支援助成金 労働時間適正管理推進コース」は、そんな取り組みを進める事業主を支援するための制度です。
1.働き方改革推進支援助成金 労働時間適正管理推進コースとは
「働き方改革推進支援助成金 労働時間適正管理推進コース」は、生産性を向上させ、労務・労働時間の適正管理の推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援するための助成金です。
- 「働き方改革推進支援助成金 労働時間適正管理推進コース」を活用した取り組み例
勤務管理用機器やソフトウェアを導入。
重複していた日報作成と出退勤管理の作業が統合され、業務の効率化を図ることができた。
勤務管理用機器やソフトウェアの購入後、かかった費用の一部を「働き方改革推進支援助成金 労働時間適正管理推進コース」に申請し、助成金を受給した。
2.支給対象となる事業主
以下のいずれにも該当する事業主は、「働き方改革推進支援助成金 労働時間適正管理推進コース」を受給できます。
- 労働者災害補償保険の適用を受ける中小企業事業主であること
- 36協定を締結していること
- 年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること
- 勤怠管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できるような統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用していないこと
- 賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存することが就業規則等に規定されていないこと
3.支給対象となる取り組み
事業実施期間中(交付決定日~2022年1月31日)に以下のいずれか1つ以上実施します。
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 人材確保に向けた取り組み
- 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
- 労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新
4. 成果目標の設定
支給対象となる取り組みは、(1)~(3)までの全ての目標達成を目指して実施します。
また、対象事業場で指定する労働者の時間当たりの賃金額の引上げを3%以上行うことを成果目標に加えることができ、その場合には助成額に加算されます。
(1)全ての対象事業場において、新たに勤怠(労働時間)管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できるような統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用すること。
(2)全ての対象事業場において、新たに賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存する旨を就業規則等に規定すること。
※2020年4月1日から、賃金台帳等の労務管理書類の保存期間が5年(当面の間は3年)に延長されました。
(3)全ての対象事業場において、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に係る研修を労働者及び労務管理担当者に対して実施すること。
5.助成額
成果目標の達成状況に応じて、支給対象となる取り組みの実施に要した経費の一部を支給します。
成果目標達成時の上限額は50万円です。
- 対象経費の合計額に補助率3/4を乗じた額を助成する(ただし、上限額を超える場合は50万円とする)
- 賃金額の引上げを成果目標に加えた場合の加算額は、指定した労働者の賃金引上げ数の合計に応じて次の表のとおり上限額に加算する
引き上げ人数 | 1~3人 | 4~6人 | 7~10人 | 11~30人 | 3%以上引き上げ | 15万円 | 30万円 | 50万円 | 1人当たり5万円 (上限150万円) |
---|---|---|---|---|
5%以上引き上げ | 24万円 | 48万円 | 80万円 | 1人当たり8万円 (上限240万円) |
6. 申請方法
- 2021年11月30日までに「交付申請書」を事業実施計画書などの必要書類とともに、最寄りの労働局雇用環境・均等部(室)に提出する
- 交付決定後、2022年1月31日までに提出した計画に沿って取組を実施する
- 業実施計画の内容を踏まえて改善事業を実施し、事業実施予定期間が終了した日から起算して 30 日後の日、または2月 10 日のいずれか早い日までに提出する
詳細は下記公式サイトをご覧ください。
7. まとめ
デジタル機器の入や社内研修など社内の働き方の改善を図るにはコストがかかります。
そのため、改革に踏み切れない事業主も多いのではないでしょうか。
「働き方改革推進支援助成金 労働時間適正管理推進コース」は、働き方改革の推進の後押しになる制度です。
ぜひ活用をご検討ください。