経済上の理由によって事業縮小をせざるを得ない場合、まず優先させたいのが従業員の雇用ですよね。
そんなとき、「雇用調整助成金」を活用してみてはいかがでしょうか?
「雇用調整助成金」は、国が雇用の維持を図るために事業主に支給する助成金です。
※本コラムは「雇用調整助成金」の原則の制度説明について書いております。「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例」については、下記の厚生労働省のHPをご確認ください。
この記事の目次
1. 雇用調整助成金とは
「雇用調整助成金」は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度です。
事業主が一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成されます。
従業員の失業の予防や雇用の安定を図ることを目的としています。
2. 主な受給要件
「雇用調整助成金」の主な受給要件は次のとおりです。
(1)雇用保険の適用事業主であること。
※雇用保険被保険者ではない従業員を休業させた場合は「緊急雇用安定助成金」を申請できます。
(2)売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること。
(3) 労使間の協定に基づき休業などの雇用調整を実施し、休業手当を支払っていること。
・休業の場合
労使間の協定により実施され、休業期間中の休業手当の額が労働基準法第26条の規定(平均賃金の 6割以上)に違反していないものであること。
・教育訓練の場合
休業の場合と同様の基準の他、教育訓練の内容が、職業に関する知識や技能などの習得や向上を目的とするものであり、当該受講日において業務(本助成金の対象となる教育訓練を除く)に就かないものであること 。
・出向の場合
雇用調整を目的とする出向であり、対象 期間内に開始され、3か月以上1年以内に出向元事業所に復帰するものであること。
(4) 過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して1年を超えていること 。
3.支給対象となる事業主
支給対象となる事業主は、 景気の変動や産業構造の変化など経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、労働者の雇用の維持を図るために労使間の協定に基づいて雇用調整(休業・教育訓練・出向)を実施する事業主です。
4. 助成額
定められた対象期間中に行われた休業、教育訓練または当該期間中に開始された出向について、次によって算定された額が支給されます。
休業の場合
休業を実施した際に支給対象者に対して支払われた休業手当相当額に、下表(1)の助成率を乗じて得た額。
教育訓練の場合
教育訓練を実施した際に支給対象者に対して支払われた賃金相当額に、下表(1)の助成率を乗じて得た額に、さらに下表(2)の加算額を加えた額。
出向の場合
出向を実施した際の出向元事業主の負担額に、下表(1)の助成率を乗じて得た額。
助成内容と受給できる金額 | 中小企業 | 中小企業以外 |
---|---|---|
(1)助成率 | 2/3 | 1/2 |
(2)教育訓練の場合の加算額※ | 1,200円 |
※支給対象者1人1日あたり
5.申請方法
- 休業の計画を立てる
- 休業協定書にまとめ、従業員の代表との合意を得る
- 計画どおりに休業し、従業員に休業手当を支払う
- 助成金の支給申請書を作成する
- 労働局・ハローワークに申請する
- 指定した口座に、助成金が振り込まれる
※詳細は下記公式サイトをご覧ください。
6. まとめ
「雇用調整助成金」は、経済上の理由から事業縮小せざるを得ない事業主や従業員を守るための助成金です。
この助成金を受給することによって、労働者の失業の予防や雇用の安定が図ることができます。
事業縮小による経営の悪化でお悩みの方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?