1年以上続く新型コロナウイルス感染症拡大により、令和3年度でも新型コロナウイルスにまつわる補助金や助成金が中心となって話題となりました。
それにより多くの事業主がさまざまな補助金、助成金を活用されています。
令和3年度では、事業再構築補助金がひときわ注目されていましたが、令和4年度は、どんな補助金が公募されるのか気になるところです。
まず結論から。
「令和4年度も新型コロナウイルスにまつわる補助金が中心となる」と想定されます。
経済産業省が、『令和4年度の中小企業・小規模事業者関係の概算要求等のポイント』を発表していますので、そこから予想できる令和4年度の補助金・助成金をチェックしてみましょう。
※経済産業省『令和4年度の中小企業・小規模事業者関係の概算要求等のポイント』のページはコチラ
1.令和4年度で公募される予定の補助金は??
令和2年度、令和3年度ともに新型コロナウイルスにまつわる補助金が中心となりましたが、令和4年度も引き続き、コロナウイルスにまつわる補助金が継続、そして新設される見込みです。
経済産業省は、令和4年度の基本的な課題と対策の方向性として以下のことを挙げています。
・ コロナ禍の事業者に対する資金繰り支援、月次支援金の給付、イベントの再開支援など、厳しい状況に直面する事業者が、足下で必要な(1)事業継続のための支援を、着実かつ迅速に実施中。資金繰り支援については、引き続き万全を期していく。
・コロナの影響の長期化や最低賃金の引上げといった環境下において、中小企業・小規模事業者等の雇用・技術といった経営資源を活かし、事業価値の向上を実現するため、
事業者に寄り添いながら(2)事業再構築、承継・再生、(3)生産性向上の支援や④取引適正化などを進めていく。
・ 加えて、「災害からの復旧・復興、事前の備え(強靭化)」にしっかり取り組んでいく。
参考:経済産業省
2. 補助金事業で行う課題や方向性
(1)事業継続のための着実な支援
コロナ渦により事業継続が困難とされている中小企業や個人事業主などに対し、資金繰り支援や、月次支援金等の給付、イベントの再開支援など、事業継続のための支援を引き続き行っていく方針とのこと。
上記の対策として以下の補助金が公募予定とされ、【】内の予算が想定されています。
・緊急事態宣言等の影響緩和に係る月次支援金等【6,979億円※令和2年度予備費等】
(2)事業再構築・承継・再生を目指す事業者の後押し
令和3年度では、事業再構築補助金について、運用の改善を行いながら、新分野展開や業態転換等の取組への支援を行っているところ。
引き続き、これらの取組を支援するとともに、あわせて事業承継・引継ぎ・再生を推し進める方針とのこと。
上記の対策として以下の補助金が公募予定とされ、【】内の予算が想定されています。
・事業再構築補助金【1兆1,485億円※令和2年度三次補正】
新分野展開、業態転換等の「事業再構築」に挑戦する中小企業等を支援。
・ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業【25.4億円(新規)】
複数の中小企業等が連携することで新たな付加価値の創造等を図る製品・サービス開発や、新分野展開や業態転換等の「事業再構築」に取り組むプロジェクトを支援。
・中小企業再生支援・事業承継総合支援事業【159.1億円(95.0億円)】
中小企業の円滑な再生・事業承継を支援するため、各都道府県に設置された中小企業再生支援協議会や事業承継・引き継ぎ支援 センターを通じ、再生計画の策定や親族内承継支援、後継者不在企業と譲受希望者とのマッチングなど総合的な支援を実施。
・事業承継・引継ぎ・再生支援事業【47.1億円(16.2億円)】
事業承継・引継ぎ(M&A)・再生に伴う設備投資や販路開拓等の新たな取組を支援するとともに、引継ぎ(M&A)・再生時の専門 家活用費等を支援。
(3)生産性向上による成長促進
コロナの影響の長期化への対応や賃上げ原資の確保等のため、生産性革命補助金を通じ、設備投資・販路開拓・IT導入を促進しています。
令和4年度も引き続き、研究開発促進・海外進出支援・DX等も含め、生産性の向上を図っていく方針とのこと。
上記の対策として以下の補助金が公募予定とされ、【】内の予算が想定されています。
・生産性革命補助金【3,600億円※令和元年度補正、2,300億円※令和2年度三次補正】
設備投資、販路開拓、ITの導入を補助するなど、中小企業等の生産性向上に資する継続的な支援を実施。
・成長型中小企業等研究開発支援事業(サポイン事業等)【162.6億円(109.0億円)】
中小企業が大学等と連携して行う、研究開発やAI/IoT等の先端技術を用いた革新的なサービスモデル開発等の取組を支援。
・海外展開のための支援事業者活用促進事業(JAPANブランド育成等支援事業)【9.4億円(8.0億円)】
海外市場の獲得に取り組む中小企業に対し、新商品・サービス開発やブランディング、展示会出展等を支援。
・展示会等のイベント産業高度化推進事業【3.8億円(3.3億円)】
中小企業の商談等の基盤である展示会産業を高度化する取組を支援。
(4)取引環境の改善をはじめとする事業環境整備等
賃上げが可能な環境の整備に役立つ「生み出した価値を着実に中小企業・小規模事業者に残す」ことを目的とし、
取引環境の改善や、よろず支援拠点・中小企業支援機関による経営相談体制の強化等、中小企業・小規模事業者を取り巻く事業環境の整備を図っていく方針とのこと
上記の対策として以下の補助金が公募予定とされ、【】内の予算が想定されています。
・中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業【60.0億円(40.9億円)】
各都道府県によろず支援拠点を整備し、中小企業・小規模事業者が抱える様々な経営課題に対応するための体制を整備。
・小規模事業対策推進等事業【55.9億円(53.2億円)】
中小企業支援機関等を通じて行われる小規模事業者への巡回指導・窓口相談などを支援。
・中小企業取引対策事業【13.5億円(9.8億円)※うち1.8億円はデジタル庁計上】
中小企業等の取引環境の改善に向け、下請法の厳正な執行、取引実態の把握、下請かけこみ寺による相談対応等を実施。
・地域の持続的発展のための中小商業者等の機能活性化事業【10.5億円(5.5億円)】
地方公共団体と連携し、中小商業者等が新たな需要を創出するために行う調査分析・施設整備等を支援。
・中小企業・小規模事業者人材対策事業 【11.1億円(10.5億円)】
中小企業・小規模事業者の経営課題に即した人材確保が可能となる環境を整備するとともに、海外展開支援人材等の育成を支援。
・地方公共団体による小規模事業者支援推進事業【12.8億円(10.8億円)】
地方公共団体と連携し、地域の実情に応じた小規模事業者の経営改善のための支援を実施
3. まとめ
新型コロナウイルスの影響は、向こう数年にわたり継続していくと言われています。
経済産業省が公表した情報によると、令和4年度も引き続きコロナ関連の補助金が注目されることが予測できます。
決して暮らしやすいとは言い難いこのご時世。
補助金や助成金の促進が助けとなり、コロナに対応できる経済社会が確立されていくことを願います。