働き方改革といわれていても、なかなか職場の環境が改善しない。改善したくても、「インフラ整備」や「業務改善」に手間がかかりそう。
働きやすい職場づくりなんてなかなか程遠い……。
と感じている事業主さんはいませんでしょうか。
2020年4月1日から中小企業に、時間外労働の上限規制が適用されており、職場環境の改善は急務となりそうです。
今回紹介する「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」は、生産性の向上を図ることで、職場環境の改善が行われ、働きやすい職場づくりをめざす助成金です。
1. 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)とは
2020年4月1日から中小企業に、時間外労働の上限規制が適用されております。
「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」は、生産性を向上させ、労働時間の縮減、年次有給休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援します。
「生産性の向上」を図るだけでなく、最終的には「働きやすい職場づくり」をめざします。
2. 支給対象となる事業主
支給対象となる事業主は「中小企業事業主」とされております。その中でも具体的にどのような事業主が対象なのでしょうか。
以下に当てはまる事業主が対象とされております。
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること
- 交付申請時点で、「成果目標」1から3の設定に向けた条件を満たしていること
- 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること
(※)中小企業事業主とは、上記「A:資本または出資額」または「B:常時雇用する労働者」の要件を満たす中小企業となります。
3. 支給対象となる取組
支給対象となる取組みはどのようなものがあるのでしょうか。
下記1つ以上実施している必要があるようです。
- 1:労務管理担当者に対する研修
- 2:労働者に対する研修、周知・啓発
- 3:外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
- 4:就業規則・労使協定等の作成・変更
- 5:人材確保に向けた取組
- 6:労務管理用ソフトウェアの導入・更新
- 7:労務管理用機器の導入・更新
- 8:デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
- 9:労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新 (小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)
最近人気の高い、クラウド式の労務EDI系ソフトウェアも対象となるので、是非とも申請しておきたいところです。
ただし、原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象とならないことはご注意ください。
4. 成果目標の設定
今回の取り組みには「成果目標」を、1つ以上クリアする必要があります。
- 全ての対象事業場において、令和3年度又は令和4年度内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下、又は月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出を行うこと
- 全ての対象事業場において、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、新型コロナウイルス感染症対応のための休暇、不妊治療のための休暇)の規定をいずれか1つ以上を新たに導入すること
- 全ての対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入すること
5. スケジュール
事業実施期間
交付決定の日から2022年1月31日(月)まで
事業実施期間
申請受付は2021年11月30日(火)まで(必着)
※なお、支給対象事業主数は国の予算額に制約されるため、11月30日以前に受付を締め切る場合があるとのことですので注意が必要です。
6.支給額
気になる支給額です。
今回の取組の実施に要した経費の一部が、成果目標の達成状況に応じて支給されます。
また、以下のいずれか低い方の額となります。
(1)成果目標1から3の上限額および賃金加算額の合計額
(2)対象経費の合計額×補助率3/4(※)
(※)常時使用する労働者数が30名以下かつ、支給対象の取組で6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5
※ また上記支給額には上限額があります。詳しくは公式サイトをご覧ください。
7. 申請方法
申請方法は、公式サイトより「申請様式」に必要事項を記入し提出します。
「申請マニュアル」や「申請様式」は公式サイトよりダウンロードできます。
※電子申請システムによる申請も可能です。
8. まとめ
中小企業の後継者不足は現在の日本において深刻な問題です。
本補助事業により、良い後継者とマッチングし円滑に事業継承ができる補助金が使えるのであれば「事業継承」に力を入れていこうという企業も増えてきます。
次代の担い手がいないとお悩みの企業は「事業承継・引継ぎ補助事業(事業承継トライアル)」を活用してみてはいかがでしょうか。